横浜国立大学ユネスコチェア「生物圏保存地域を活用した持続可能な社会のための教育」 キックオフシンポジウム(2022年11月21日)

横浜国立大学ユネスコチェア「生物圏保存地域を活用した持続可能な社会のための教育」
キックオフシンポジウムが2022年11月21日(月)10:00〜16:30に横浜情報文化センター・
情文ホール6階(みなとみらい線「日本大通り駅」)で開催されました。

・Noëline Rondry Rakotoarisoa 氏(UNESCO UNITWIN)によるビデオメッセージ

午前の司会 堀内かおる教授(教育学部)

梅原出学長による開会の挨拶に続き、来賓の加藤敬氏(文部科学省国際統括官付国際交渉分析官/日本ユネスコ国内委員会副事務総長)、横浜市長の代読で嶋田稔氏(横浜市温暖化対策統括本部、SDGs未来都市推進担当部長)より祝辞を頂きました。

コロナ禍の折、間隔を空けて席が用意されましたが、大勢の参加者が会場を埋め尽しました。

牧野義之氏(神奈川県政策局いのち・未来戦略本部室科学技術イノベーション担当課長)による「神奈川県の科学技術イノベーション活動〜30年の信念を15分で駆け巡る〜」と題する最初の講演では、30年間にわたる神奈川県の産学公連携活動の実績が紹介されました。

渡辺綱男氏(一般財団法人自然環境研究センター上級研究員、人間と生物圏(MAB)計画分科会主査、IUCN日本委員会会長)による「自然環境政策の動向とユネスコエコパークへの期待」と題する講演では、SATOYAMAイニシアティブ(写真左上)や、COP10で採択された「愛知目標」に続いて、COP15では2030年までの生物多様性の世界目標「ポスト2020生物多様性枠組」が採択されたことなどが歴史的に順番に分かりやすく紹介されました。

これに続いて、松田裕之教授(環境情報研究院、チェアホルダー)による「コロナ禍後の人間と生物圏の新たな関係」と題する講演があり、今後の活動予定と抱負が述べられました。

松葉口玲子教授(教育学部)による「ESD×YNU EBRossの始動」と題する講演では、ESDに関する教育学部の取り組みが紹介された他、横浜国立大学附属鎌倉小中学校がユネスコスクールに選定されているため、本学のユネスコチェアに期待が持たれていることも紹介されました。

小池文人教授(環境情報研究院)による「教育 in EBRoSS」と題する講演では、今年度から始まった副専攻プログラムの具体的な教育内容やパラグアイやタイなどとの国際的な Project Based Learning (PBL) の取り組みの実績が報告されました。

倉田薫子准教授(教育学部)による「生物文化多様性と環境共生型社会ー里山を活用したESDー」と題する講演では、「里山ESDワークショップ祭」が開催され、子供達の体験学習と同時に親御さんたちの学びの場にもなり、学生教育にも繋がっている様子が紹介されました。

江藤克さんと杉江つくしさん(藤掛研究室学生)による「世界最大級の水力発電施設と自然・民族文化について」と題するパラグアイ現地調査に関する講演と吉田涼香さん(倉田研究室学生)による「生物多様性の保全と持続可能な利用を目指して〜甲武信BRの移行地域を例に」と題する甲武信BRの現地調査に関する講演が続きました。

午前の部の最後は、目黒康弘氏(只見町役場地域創生課長、日本ユネスコエコパークネットワークJBRN事務局長)による「日本ユネスコエコパークネットワークJBRNが大学に期待すること」と題する講演で、只見BRの活動および大学やユースなどとも連携したJBRNのさまざまな取り組みの実績や今後への期待などが紹介されました。

午後の部では、初めに、Miguel Clüsener-Godt教授(環境情報研究院)による「惑星としての境界線:自然資源の生物多様性、保全と持続可能な活用の限界」と題する講演が行われ、MABやPESの考え方やドイツの例などが紹介され、最近の気候災害や再生可能エネルギーのなどに関する取り組みの問題点やSDGsとの関係などが紹介されました。
午後の司会 Amarbayar Ariunjargaiさん(学生)
Shabaz Khan氏(ユネスコ北京事務所)によるビデオメッセージ

Antonio Domingos Abreu氏(Coimbra大学、生物学者、環境スペシャリスト/環境エキスパート)による「ポルトガルの生物圏保存地域:持続可能な地域とレジリエントなコミュニティ」と題する講演が行われ、ポルトガルCoimbra大学のUNESCO Chair on Biodiversity Safeguard for Sustainable Development の活動が紹介されました。

Le Phuoc Cuong氏(ダナン大学)による「Cham BR(ベトナム、ホイアン)の現状と気候変動への課題」と題する講演が行われ、ダナン市に近いCham島の自然破壊などの状況が紹介されました。ダナン大学は本学のパートナー大学のため、今後の学生交流が期待されます。

Kirichate Sridith氏(プリンスオブソンクラ大学)による「タイ政府の政策と自然植生の劣化」と題する講演が行われ、ダム建設によって自然が失われつつある現状が紹介されました。プリンスオブソンクラ大学も本学のパートナー大学のため、今後の学生交流が期待されます。

McPhillip Mwithokona氏(マラウイ国立公園・野生生物部門)による「世界遺産マラウイ湖国立公園におけるSATREPSプロジェクトの概要」と題する講演が行われ、松田裕之教授も参加している、JSTのSATREPSプログラムのアフリカ現地での研究内容が紹介されました。

これらの講演に続いて、パネリスト(左から松田教授、Mwithokona氏、Sridith氏、Cuong氏、Abreu氏、Clüsener-Godt教授)によるパネルディスカッションが行われました。初めに、パネリストが会議の感想を述べた後、会場から質問を受けました。会場からは複数の質問があり、パネリストたちが意見を述べ合いました。

パネルディスカッションの司会はMiguel Clüsener-Godt教授(写真右)が行い、Antonio Domingos Abreu氏(写真左)は口火を切って最初に意見を述べました。
最後に椛島裕美副学長が閉会の挨拶を述べ、会議は無事に終了しました。

・開催案内パンフレット