只見ユネスコエコパーク海外交流特別セミナー(2024年9月7日)

只見町主催の只見ユネスコエコパーク海外交流特別セミナーが2024年9月7日14:00-16:00に、福島県只見町朝日公民館2階ホールで開催されました。渡部勇夫只見町長のMiguel Clüsener-Godt博士夫妻と松田裕之ユネスコチェア代表の只見訪問を歓迎するあいさつで始まり、9月2日に只見ユネスコエコパークの定期報告を日本ユネスコ国内委員会事務局に提出したことが報告されました。

続いて松田裕之代表の逐次通訳の下、Miguel Clüsener-Godt博士が『ユネスコエコパークとユネスコMAB計画:持続可能な開発と自然保護との関連性』と題する60分講演を行い、自然保護と地域社会の発展の調和を図る世界各国の生物圏保存地域の活動を紹介しました。Miguel Clüsener-Godt博士は長年にわたるユネスコでの仕事の後、1年半前まで本学の教授を勤め、本学の名誉博士号を授与されています。現在はポルトガルのコインブラ大学の教授をされています。

質疑応答では会場から約40分間に及ぶ活発な質問が寄せられ、松田裕之ユネスコチェア代表の通訳のもと、Miguel Clüsener-Godt博士が回答するやり取りが続きました(質疑要約)。ユネスコエコパークにおける移行地域の役割、地元の市民がエコパークにどのようにかかわるか、世界自然遺産との相違点、今月の台風で屋久島で倒れた弥生杉の活用方法など、質問が多岐にわたりました。博士からは、核心地域は生物多様性を保護するためにあるが移行地域は地域社会の持続可能な開発の場であること、まずは教育現場で子供たちが学び、子供たちからその親たちが学ぶことで、地域の担い手が広がるだろうこと、世界遺産は価値を保存し次世代に遺すためにあるが、エコパークは自然資源を持続可能に利用する工夫をする価値を創造する場であること、樹齢数千年の弥生杉といえども生命が有限であり、重要なのはその子孫を守ることであることなどが議論されました。

会議後、新国勇氏が普段公開していない会場隣の「旧朝日公民館 民具収蔵庫」にMiguel Clüsener-Godt博士夫妻と松田代表を案内し、1万点に及ぶ民具を紹介しました。ちょうど、9月5日にNHKテレビ番組「時論公論」で全国各地の博物館等の民具の保管状況の課題が論じられ、只見「モノとくらしのミュージアム」が成功事例として紹介されたところでした。

その夜、晩餐会の場で、渡部町長からMiguel博士に記念品が贈呈されました。